行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

アトリエにお邪魔して

こんにちは。

とても暑い、影がひとつも無いような日でしたね。皆様、水分摂取をしっかりして、お体お気をつけください。

今日は行田のぞみ園はお休みです。また明日から、よろしくお願い致します。

 

今日は『絵本作家のアトリエ  1』という本をご紹介します。皆さんのよく知る絵本作家の方達のアトリエを訪れ、いったいどのような道のりで絵本を書くことになったのかを、インタビューを通して語っていく、という構成です。

作家の方達の近影や創作ノートなど、視覚的にも楽しい一冊。大好きなシリーズなのですが、ひいき目がなくても、未読の方にはぜひともお勧めしたいです。

戦後の絵本を作り上げてきた方達のお名前が並ぶ第一巻。名前だけではどの絵本を描かれたか分からない、という方も、おそらく絵本の題名を聞いたら、「ああ、あの絵本の!」と膝を打たれるのではないかと思います。

 

冒頭の太田大八さんのインタビューから、すでに大変読み応えがあります。ロシア革命二・二六事件東京大空襲、原爆後の広島と、歴史の大きなうねりの中に立ってきた太田さん。戦後の東京で「たまたま」呼び止められたことから、絵本の世界に飛び込んでいきます。

 

「calling」は職業を指す英単語で、「天職」や「召し」などとも訳されますが、この本は、作家の方達が、いつどのように、どうやって「絵本作家」というcallingに巡り合ったのか、という大変貴重な記録です。

実に多種多様、それこそ絵本の世界のように、それぞれの来し方が色濃く鮮やかに彩られています。この本を読むといつも、道は一つではなく、それぞれの歩き方があるのだという当たり前のことにもう一度気づかされます。

 

戦後、子供達に「おもねらず」もがき、対峙し続けた作り手がいたからこそ、今日私たちは浴びるほどたくさんの作品を手に取ることができています。「子供たちにこそ本物を」という確かな信念と矜持に、胸の震える一冊です。

 

かつて子供だった私たちは、この方達が魂を込めて届けてくれたものを、繋ぐことができているのでしょうか。「人間は未来永劫変わらない」という井上洋介さんの言葉が、重く深く、残ります。