行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

小さな人たちの大きな旅

こんにちは。今日は行田のぞみ園はお休みです。お休みの日は、絵本の紹介などをしています。お時間のある方はお付き合いください。

 

14匹のねずみの家族が大きな木に住んでいたり、お屋敷の床下で小人たちがひっそりと住んでいたり、いつだって子供達は本の中の小さな住人たちが大好き。今日ご紹介する絵本は『トマとエマのとどけもの みちをたどるおはなし』、小さな大冒険のお話です。

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トマとエマはお母さんに頼まれて、となりの国のおじいさんとおばあさんにおとどけものを届けに行くことになりました。

虫たちやカエルのおばさんとすれ違い、雨降りを心配されたり、綿毛につかまって空を飛んだり、はたまた囚われの何かとニアミスしたり、2人のたどる道は平坦というわけではありません。しまいには雨も降ってきてしまいます。

 

 

ページをめくる私たちの方がドキドキしてしまうくらいの道のりですが、本人たちは至ってゆったりのんびりした風情。この世界では、これくらいの日々が日常なのでしょう。

本書の見どころの一つは、全てがひとつながりに描かれていること。こちらはぜひ、手にとって直接確かめていただきたいです。ページ毎に描かれる景色は全て、トマとエマの道のりそのもの。全てのシーンにちょっとずつ物語や仕掛けが描き込まれていて、トマとエマだけでない、小さな小さな住人たちも目を凝らせばたくさん見つかります。読んでいくと、見知らぬ不思議な世界を覗き見するような高揚感も感じます。毎ページ必ずいる、青い服のあの人にはぜひご注目を。

 

作者の大庭賢哉さんはイラストレーターでもあり、大変魅力的な漫画家さんでもあります。今作は初の絵本なのですが、とにかく大庭さんの魅力が大爆発した一冊だと思います。

先日子供達と読んだ時も「あの鍵はそういうことなんだよ」「あの人はどこかなあ」など、本当に楽しそうに読んでいたのが印象的でした。子供達が自分で、物語の切れ端をあちこち探していくことができる本だと思います。贈り物などにもおすすめの一冊。

 

現在シリーズとして2作品出ていますが、長く長く、シリーズ化していってほしいです。小さなひとたちの大冒険です。ぜひぜひ、お楽しみください。