行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

冬の匂い

こんばんは。

突然ぐっと寒くなってきました。冬が大急ぎでドアをノックしてきたようで、体もびっくりしてしまいますね。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

今日は行田のぞみ園はお休みです。お休みの日は、絵本や本の話などをしています。お時間のある方はお付き合いください。

 

行田のぞみ園のAさんは、先の話が大好き。今日も、「1月4日からお仕事」と、2024年の話を早くも楽しそうに話していました。

なので、Aさんにならって今日は一足早く、お正月の絵本をご紹介したいと思います。

 

 

西村繁男さんの「もうすぐおしょうがつ」は、冬休み、おじいさんとおばあさんのお家で迎えるお正月のお話です。

晦日前に親戚一同で集まる機会は、今やもう過去のものといっても過言ではないかもしれません。

この絵本は、そんな昔ながらの「お正月」をじっくり腰を据えて描いた一冊。お兄ちゃんと妹が、おじいさんとおばあさんの家に家族で「帰る」ところから、始まっていきます。

 

窓拭き、障子の張り替え、大人数での餅つき、大晦日に市場で買い出しをし、しめ飾りを飾る。昔はどこの地域でも、大小ではありますが、似たような光景が繰り広げられたことでしょう。「かつてのお正月」に、一定以上の年齢の方は大変な懐かしさを感じ、今の子供達はもしかしたら物慣れないがための新鮮さを感じるかもしれません。

 

確かなことは、どんな時代になったとしても、西村さんならではの、細部まで緻密に描きこまれた「日本」の風景は、とてつもなく魅力的であると言うことです。

 

子供の頃に体験した、大晦日とお正月の独特の気忙しさ、寒くてしかし澄んだ空気、畳と和室の匂い、大晦日の市場のざわめきとどこか浮かれた空気。そんな「冬の匂い」が漂うせいでしょうか、なぜか読んだ人全てが時代を問わず、なつかしいと思う、不思議な一冊になっています。