行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

はるのにおいの

こんにちは。

今日は晴れ間が多く、少し春を感じる1日でしたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

今日は行田のぞみ園はお休みです。お休みの日は、たまに絵本や本の話をしています。お時間のある方はお付き合いください。

 

とかげのちょろりんのお話は、以前紹介しましたが、今回もちょろりんのお話を。

 

冬が近いある日、ちょろりんはかあさんのお使いでお出かけします。その時、大通りの洋品店で、「はるの はらっぱいろをした」セーターを見かけたちょろりんは、そのセーターに一目惚れ。セーターを買うのには、赤く透き通ったガラスのおかねが必要になります。ちょろりんはランプ作りを生業としているじいちゃんのところへ、相談に行きます。じいちゃんから提案されたのは、ランプみがきのお仕事でした。

 

 

 

 

ちょろりんの、セーターへの熱い思いに応えるかのように、じいちゃんはちょろりんにとにかくきっちりとお仕事をさせます。せっせとランプを磨くちょろりん、凍える朝に、割れやすいランプを、そうっとかじかむ手で包むちょろりん。好きなものを手に入れるには、とにかく頑張らなければいけません。

 

時間と手間を惜しまないちょろりんが、どうかあの春色のセーターを買えますように。読み手はもちろん、そう願って読んでいくのですが、ここで一筋縄では行かない展開がちょろりんを待ち構えています。ああ、とちょろりんと同じように、私たちもがっかりしてしまうかもしれません。

そこで忘れられないインパクトを残すのが、きむずかしやで有名な、洋品店のびきびきおばあさん。決して笑ったり親切な言葉を残さないのに、ちょろりんに特大の暖かさをプレゼントする、とっても粋なおばあさんです。

ちょろりんのじいちゃんも、このびきびきおばあさんも、厳しさの裏に芯のある優しさがある、素敵な大人として描かれています。

 

寒い季節が続く中、気がつくと、ラストシーンのちょろりんと同じように、春の匂いの暖かさを、読者もプレゼントされたような、そんな読後感。冬の匂いと春の匂いが混ざり合う一冊です。ぜひお試しを。