行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

海の記憶

こんばんは。

朝目覚めると、「寒いなあ」と一声を上げることが増えてきました。だんだんと近づいていく冬、暖かい鍋やほくほくとしたグラタン、何より焼き菓子が美味しい季節が近づいて来ましたね。

 

今日は行田のぞみ園はお休みです。お休みの日は、絵本や本の話などをしています。お時間のある方はお付き合いください。

 

先日、海のあるところに旅に出ました。海から出る朝日を見るために早朝の露天風呂に向かったら、他にも同じことを考えている人たちが。そのまま結構な時間をお風呂に浸かっていたのですが、太陽はじりじりと上がらず、皆でのぼせながら、何かの我慢比べのようにじっと朝日を待っていました。待って待って待って、突然日の光が山の端から現れた時、皆で歓声を上げたのを覚えています。

 

今日は『うみのたからもの』をご紹介します。作者はたかおゆうこさんです。

うみのたからもの

「うみべに いったら かいがらを さがそう」という一文から始まる一冊。揺らしてみたり、浮かべてみたり、目を凝らしてみたり、耳をすませたり。一つ一つの貝殻を手に取ると、一瞬の暗転の後、深く豊かな、海の裏側の世界が見えてきます。

 

 

 

 

 

小さな宝物、小さな船、小さなおうち。そして、海の奥底にある深くて重い時の重なり。満点の星の滴。五感の全部を刺激するような色とりどりの青色をつかって、捉え所のない海と空、そして陸の姿が描かれます。とても美しい一冊です。

「そらと うみと りくが であうところ」の映り変わりゆく時の重なりを、深淵を、ぜひお楽しみください。