こんにちは。
段々と風が透き通ってくるような気がします。秋の風ですね。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。まだまだ天気が変わりやすい中、お元気でお過ごしください。
今日は行田のぞみ園はお休みです。お休みの日は、絵本の紹介などをしています。お時間のある方はお付き合いくだされば嬉しいです。
今日は『ピアノはっぴょうかい』をご紹介します。
秋といえば、いろいろな展覧会、発表会の季節でもありますね。
きょうはももちゃんの、初めてのピアノのはっぴょうかい。
舞台袖の暗がりで、胸をどきどきさせながら自分の順番を待つももちゃんに、小さな声で話しかけるのは...?
この一冊を読んだ人は、きっと誰もがももちゃんの緊張に共感してしまうのではないでしょうか。私も、小さな頃、ももちゃんと同じようにピアノの発表会で自分の順番を待っていたことを思い出しました。ももちゃんもきっと、心臓が飛び出しそうで、喉がカラカラになっていたことでしょう。舞台袖から光が当たる舞台を見る気持ちというのは、きっとその場に立つ人にしか分からない、特別で強烈なものです。そんなももちゃんが招かれた、小さな世界の小さな住人たちによる、鮮やかできらきらしたはっぴょうかい。音楽と踊りが柔らかい闇に滲んで、ももちゃんの心にもきっと溢れていったのでしょう。
みやこしあきこさんの画風を表すなら、日本語としては矛盾していますが、色とりどりの陰影、とでも言うのでしょうか。影の鮮やかさ、闇のわだかまる空間の奥深さを、とても大事にされて作品を作られているような気がします。ひっそりと音を立てずに、暗がりで舞台を見守る観客のような、そんな気持ちで作品を読んでしまう作家さんです。
影の世界に火を灯すように描かれる、ももちゃんや小さな住人たちのドレスの鮮やかさもまた、必見です。