行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

光と色と言葉

こんばんは。

まさに荒天、でしたね。皆さまいかがお過ごしでしょうか?

今日はグループホームに皆さん帰ってくる日ですが、雨上がりに虹を見たという社員さんもいらっしゃいました。嵐の前にも後にも、独特の美しさがありますね。

 

行田のぞみ園の社員さんは作業中、それぞれ割烹着をつけますが、その中に可愛らしいネズミをちょこんとあしらった割烹着が。懐かしくて、「あ、フレデリックだ」と思わず声をあげてしまったことがあります。

 

今日は行田のぞみ園はお休みです。お休みの日は絵本や本のご紹介をしていますが、今日は1匹の、のねずみのお話です。

 

フレデリックは野ねずみです。他の仲間たちは、寒くて厳しい冬に備え、朝も晩も忙しく働いて、休む時がありません。それなのにフレデリックは、一人座り込み、いつもぼーっとしているように見えます。たまりかねた仲間に「どうしてきみは はたらかないの?」と聞かれても、フレデリックは動じません。

 

 

 

寒くて厳しい冬ごもり、食料もわずかとなり、仲間たちの気力が無くなっていきそうな時、彼らはふっと思い出します。何もしていないように見えたフレデリックが集めていたもの。それは一体何なのだろうと。

子供のころ、このフレデリックはこんなに「何もしない」のに皆に嫌われたり、追い出されたりしないんだろうかとハラハラしながら読んで、結末にとてもほっとして泣きそうになってしまったのを覚えています。私もぼうっとしていてよく先生に怒られる子供だったので、どこか共感していたのかもしれません。

 

くじけそうな時、寒くて凍えそうな時、どうしようもなくなった時、もちろん衣食住の備えは必要です。それでも、それだけでは埋まらないものも確かにあるのだと思います。

 

「役に立つこと」「コストに見合うこと」が至上の価値とされるような今ですが、たまにフレデリックのことを思い出して、ほんの少し勇気をもらっています。

 

暗く冷たい場所にいる時、お日様の暖かさ、溢れる色の鮮やかさ、温かな言葉の記憶がどれほど人を力づけるか。作者であるレオ・レオニの辿った道のりを知ると、無駄なものなどない、世界は美しい、という力強いメッセージの尊さを思います。

 

今だからこそ、の一冊かもしれません。皆そろって冬を乗り越えられますように。