「この間、砂漠にいる夢を見たんです」
社員のDさんが、笑いながら打ち明けてくれました。
つい先日、Dさんは、灼熱の砂漠で一人、暑くて苦しんでいる夢を見て目が覚めたそうです。その日は各地で40度越えを記録した日。とりわけ暑い日だったので、そんな日に砂漠の夢を見るなんて、なんて辛い体験を、と大いに同情してしまいました。「苦しかったんですよ」としみじみと話していたのが印象的でした。
そんなDさんと私は、いつも朝ヒゲのことばかり話しています。朝、製造組の身だしなみチェックの際、男性陣は特に、毎日ヒゲを剃っているかチェックします。毎日つるつるに剃ってくる人もいますが、Dさんは剃り忘れが目立ちます。しかし私たちは食品をお売りしている以上、清潔第一。身だしなみチェック上、どうしてもヒゲについて触れないわけにはいかないのです。
Dさんも、連日できていないことを指摘されて、すこしうんざりしてしまう日もあるのでしょう。たまに落ち込みすぎてしまう日も。「もう辞めます」「明日から来ません」ととんでもなく後ろ向きになってしまい、ヒゲを剃ってきてほしいだけのこちらも、励ましたり元気付けたり四苦八苦です。
正しいことでも、その人に伝わらなければ意味がないのだと、私はDさんから毎日学ばされています。
しかし、どうしても清潔を保ってほしい、と根気よく伝え続けていると、3日に1回か、4日に1回か、はたまた1週間ぶりか、たまに、「今日は剃ってきましたよ」と嬉しそうにつるつるのあごを見せてくれる時があり、その時はやっぱりとても嬉しいです。願わくばそれを毎日...と思ってしまいますが、少しずつ、少しずつですね。
さて、今日もDさんは夢を見ているでしょうか。もし砂漠の夢をまた見るにしても、せめて月が照らす、ひんやりとした夜の砂漠であってほしいと思います。オアシスでもあったら最高ですね。
そこでのんびりと休んで、また今週も元気に会えますように。