行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

ことばははじまり

こんばんは。

今週は、週末にかけて10度以上の温度差があるそうです。寒暖の差、特に体調の変化に気をつけたいですね。

 

今日は行田のぞみ園はお休みです。お休みの日は、たまに絵本や本の話などをしています。お時間のある方はお付き合いください。

 

思考は言葉に支配されている、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。人は自分のつぶやく口癖や言葉にいつの間にか染まり、動くようになっていく、だからたくさん本を読んで、自分の状態や感情の幅を表す言葉を知っておいた方が良い、と語る人の話を私も聞いたことがあります。マザー・テレサも、言葉に気をつけなさい、と言っていましたね。言葉はいつか行動になるのだと。

 

人は世界を、自分の知っている言葉でしか語ることができません。

今日は、世界のあちこちに転がっている、言葉の金脈について触れた一冊です。

 

『翻訳できない世界のことば』。

book

フォレルスケット、コンモオーベレ、モーンガータ...魔法の呪文のように聞こえる言葉が、美しい絵と一緒に紹介されていきます。全てが、他の言語に翻訳すると、その意味が失われやすい、実に微妙で絶妙なことば、ことばばかりの本です。ああ、確かにその国でしか表現できないだろう、と膝を打つことも。

 

私たちは、すでに得た言葉、知識、景色で世界を構築しがちですし、「知っている」と思い込んでいます。でも、この本をめくっていくたびに、ああ、自分は何も知らないのだ、と思います。自分はこの美しい世界の何も知ってはいない、何も見たことはないのかもしれない、と。でも、知らないことばを知る、無知であることを知る、というのは、きっととても恐ろしいことですが、とても幸福なことでもあるのでしょう。

ことばで世界は定義されるというなら、私たちの「世界」は、何度でも変わることができるのです。

暗闇の中に、ぽつりぽつりと光を探り当てていくような、そんな、ことばへの畏怖と希望を感じる一冊です。贈り物にもどうぞ。