行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

王様のお菓子を囲んで

こんにちは。

今日は行田のぞみ園はお休みです。お休みの日は、たまに絵本や本の話などをしています。お時間のある方はお付き合いください。

 

今日は突然、寒さがひょっこりと戻ってきたような1日でしたね。寒い日には、おいしくて優しい一冊を。『王さまのお菓子』です。王さまのお菓子[石井睦美]

小指のさきくらいの、陶器でできた小さなお人形。名前はミリーといいます。彼女がいるのはどこなのでしょう?そう、たっぷりとアーモンドクリームの詰まったパイの中、彼女を引き当てる人を、誰か誰かと待ちわびています。

「さあ、いっておいで。きみは だれを しあわせにするんだろうねえ。」

祈りのような一言と一緒に送り出されるミリー。彼女を待つのは、少しだけ寂しい女の子がいる家でした。切り分けられるパイのなかで、ミリーはどきどきとしています。彼女を引き当てるのは、果たして誰なのでしょう。

 

引き当てた人にしあわせを運ぶと言われるフェーヴ、という陶器のお人形から見た世界を、くらはしれいさんの優しい絵柄が引き立てています。異国情緒がありながらどこか懐かしい色使いは以前紹介した『レミーさんのひきだし」でも大変魅力的でしたが、今回も、まるで焼きたての香りが漂ってきそうなパイが印象的でした。

 

お菓子には、食べる人を幸せにする祈りと魔法が詰まっています。パイを囲んだ人たちみんなが、今日も幸せでありますように。読み終わるとそんな事を思う、素敵な一冊です。