行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

言葉の海を超えて

こんばんは、本日行田のぞみ園はお休みです。

お休みの日は、絵本や本の話などをしています。お時間のある方はお付き合いください。

 

春は贈り物をする機会も多いのではないでしょうか。

今回は、大変美しい本なので、贈り物にもうってつけの『本の子』をご紹介します。私自身も、4年前ほどに友人から贈り物としていただきました。当時も今も、ページを開くとその美しさに惚れ惚れします。

本の子

言葉の海を旅してきた「本の子」が、男の子を誘って旅に出ます。

 

道を歩き、山を登り、闇をかいくぐり、森をさまよい、怪物から逃げ、雲や宇宙で戯れ、その世界のどれもが、物語と文字で構成されています。文字が密集し、ぶらさがり、うごめき、自在にページを踊るように動いていく視覚の楽しさ、ひらめく色の美しさ、どれも圧巻の一言です。

 

 

 

日本語バージョンのこの一冊を作るために、翻訳家の柴田元幸さんは40作以上の作品を新訳されたとのこと。目を最大限に凝らせば、あの物語やこの物語が一ページごとにひしめきあって、ちょっと気が遠くなるほどの密度です。作り手の工夫、情熱と愛情をひしひしと感じる一冊でもあります。

海外では、どのように構成されているんだろう、どのような描き方をしているんだろうと思うと、違う国のバージョンもぜひ見てみたい!と想像力をかきたてられます。

 

過酷で無慈悲な現実に対して、文字の力がどれほどのものかと無力感にも襲われる時があるかもしれません。それでも人は物語に力をもらい、美しいものを作り続けることもできる、どこにでも、どこまでだって行けるのだと、「本の子」は私たちに教えてくれます。