行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

小さな灰色うさぎ

こんばんは。

本日は行田のぞみ園はお休みです。お休みの日は、絵本や本の話などをしています。お時間のある方はお付き合いください。

 

皆さんが住んでいる場所には、森が近くにありますか?

森の外れの小さな家に、野うさぎのヘアと、リスのスキレルと一緒に住んでいる灰色うさぎ、リトル・グレイ・ラビットのお話、『グレイ・ラビットのおはなし』をご紹介します。

グレイ・ラビットのおはなし

 

森の外れの小さな家の朝の光景から、物語は始まります。灰色ねずみのグレイ・ラビットは、働き者のねずみさん。うぬぼれやの野うさぎと、いばりやのりすと一緒に暮らしていても、ほがらかにいつも立ち働いています。わがままを言う2匹にも嫌な顔一つせず、美味しそうなご飯を用意して、破れたエプロンを縫って、といつも大忙し。読み返してみると、りすも野うさぎもしっかりしなさいよ、と言いたくなってしまう気もしますが、だんだんとこの個性あふれる2匹も愛おしくなってしまうのがこの1冊の魔法でもあります。

 

 

味方でもなく敵でもないフクロウ、牛乳の配達がいつも遅れるハリネズミなどなど、森の仲間は一癖も二癖もあり、印象的です。グレイラビットも彼らも、楽しく暮らしつつもいつもどこか緊張しています。背を向ければ、喰われてしまうかも知れない。捕食者である、イタチや狐のこわーい存在感も読みどころです。森が単なる牧歌的な天国ではなく、命を失う危険も秘めている場所としてきちんと描かれていること、これは作者であるアリソン・アトリーが、森や自然の中で育ったからこそでしょう。

自分や仲間達の身に迫り来る危険を、機転と知恵でくぐりぬけるグレイ・ラビットの姿は鮮やかでとても眩しく映ります。灰色ねずみの、たまにスリリングな森の生活、ぜひお楽しみください。

 

アリソン・アトリーは大変多くの作品を書いた方で、『時の旅人』も大大大傑作なのですが、これはまたいつか。