行田のぞみ園ブログ

特定非営利活動法人行田のぞみ園のブログです。

ぼくびょうきじゃないよ

こんにちは。雨が続きますね。皆様どうぞ、ご自愛ください。

 

今日は行田のぞみ園はお休みです。また明日から、よろしくお願い致します。

お休みの日は、絵本の紹介などをしています。お時間のある方はお付き合いください。

 

今日は、一風変わった、毛むくじゃらのお医者さんのお話です。

 

ケンくんは、お兄ちゃんに釣りに行ってもらう日を、とても楽しみにしていました。それなのにその前日、だんだん咳が出て、熱が出てきてしまいます。どうしても釣りに行きたいケンくんは、「ぼくびょうきじゃないよ」と言い張りながら、渋々ベッドで寝ています。だんだん熱が上がってきて、ぼうっとしているケンくんの部屋に、ドアをとんとん、と叩いて入ってきたのは...?そう、大きな毛皮に白衣、聴診器と大きなカバンをぶら下げた、くまの先生だったのです。突如現れたくま先生は、何回も間違えて、ケンくんの部屋を出たり入ったりします。最初は「ぼくびょうきじゃないよ」と言い張るケンくんも、「びょうきじゃないけど」と前置きしつつ、くま先生に喉を診てもらい、胸の音を聴いてもらうことに。くま先生は「また君か」と言いながらも、迷い込むたびに、「くましきうがい」から始まる、特別な治療をしてくれるのでした。

 

たった一晩で、苦しい風邪や病気が治ったら、どんなに嬉しく幸せでしょう。一度読んだら忘れられないインパクトのくましきうがい、顔舐めなど、超独自路線のくま式治療をお楽しみください。くま先生はいったいどこから来たのかな、くま先生を待っている患者さんは大丈夫かな、など、子供たちが思い描くページの外のお話もたくさん膨らんでいきそうです。

 

日常の中に、「ちょっと不思議」が入り込むこの塩梅は、流石に角野栄子さん、と思わされます。また、この作品の素晴らしさの一つは、垂石さんの描かれるくま先生が「ちゃんと怖い」ところではないかな、と思います。くましきうがいをするくま先生の口の大きさ、聴診器に添えたくま先生の鋭く伸びてとがった爪、ケンくんの顔をべろべろと舐める舌の大きさ。野生味を残して描かれるくま先生の迫力は特筆もの。ぶっきらぼうな優しさと、どこか異形めいた恐ろしさが並立しているくま先生。自分が病気の時にも、迷い込んできてくれないかな、とついつい願ってしまいそう。とても印象深い一冊です。

 

角野栄子さん、垂石さんのゴールデンコンビ?で作られた絵本は、他にも「ぼくのたからものどこですか」「ぼくしごとにいくんだ」などもありますが、どれも傑作揃い。また機会があったらご紹介しますね。

 

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。