こんばんは。
今日は冬至、夜が一番長い日ですね。
柚子湯に入ったり、かぼちゃを食べた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
奇しくも?、現在行田のぞみ園の季節限定パウンドケーキは、柚子とかぼちゃです。タイムリーですね!明日の販売でもお持ちする予定ですので、ぜひぜひお試しください。
冬至の夜には、テレビよりもラジオの音が似合うような気がします。
今日ご紹介する本は、絵本ではないのですが、今日のような夜にはちょうど良い本です。ポール・オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」です。
元々は、作家のポール・オースターが、ラジオの番組で「事実でなければならず、短くなければならない」物語を募集した結果、アメリカ全土から4000通もの投稿が集まり、その中からオースターが選んだ179篇の物語が収録されています。
少し怖かったり情けなかったり、胸が詰まったり、不思議な余韻が残ったりと、集められた「ストーリー」は千差万別。クリスマスストーリーも何篇か収録されていますので、この時期にはおすすめです。
簡潔で読みやすく、驚くべきことに全てが実話です。長い夜に一頁ずつめくっていくと、ちょうど深夜に訥々と語られるラジオを聞いているような気持ちになります。
ちなみに本国でこの本が刊行されたのは2001年9月13日。911の日のわずか2日後です。テロや戦争、疫病など、大きな出来事や大義の前には忘れられがちな、無数の人々の小さな物語。その声がひしめいている一冊です。
誰もがおそらく語るべき物語を持っていて、私たちはそのわずか数パーセントも知ることはできません。友人や自分の家族であっても、その人の物語の全容はその人にしか、もしかしたらその人すら知り得ないのかもしれません。だからこそ、物語が語られ、聞かれるというのは、とても稀有で幸福なことだと思います。
一年で一番長くて深い夜。遠い国の人々が語る物語に、ぜひ耳を傾けてみてください。
お付き合いいただき、ありがとうございました。また明日からよろしくお願い致します。