こんばんは。皆様いかがお過ごしでしょうか。お体大事にしてお過ごしください。
今日は行田のぞみ園はお休みです。明日から、またよろしくお願い致します。
風が強い日が続きますね。
行田は関東平野にあり、群馬もほど近い場所にあるので、冬になると、群馬の赤城山から吹く「赤城おろし」という冷たい強風が吹きつけてきます。この空っ風が吹く時に外にいたらもう大変。手もあっという間にかじかみ、頬もたちまち赤くなってしまいます。
今日は、そんな吹きすさぶ強風に負けなかった女の子のお話をご紹介します。
ウィリアム・スタイグは映画「シュレック」の原作、「みにくいシュレック」の作者として名を知られていますが、この「ゆうかんなアイリーン」で知る方も多いのではないでしょうか。スタイグの絵本の中でも、個人的にはこのアイリーンという女の子の物語が一番好きです。
お屋敷の奥様にたのまれたドレスを仕上げたお母さん。けれど、風邪をひいてしまい、ドレスを届けることができません。娘のアイリーンは「わたしがとどけてあげる」とお母さんを寝かせ、ドレスを綺麗に箱に包んで出発します。
しかしお屋敷までの道のり、雪と風はどんどん強くなり...?
大きな箱を手に持ち、吹き飛ばされそうな雪と風の中「負けるもんか」と歩みを進めるアイリーンの姿はまさに勇敢そのもの。街道からお屋敷までの道は長く、次から次へとアイリーンを試すような出来事が起こります。ここまで意地悪をしなくても、と、読む私たちは、ページを繰るたびにアイリーンと同じように泣きたくなってしまいます。どんなに寒く、冷たく、心細かったことでしょう。それでもアイリーンは進み続けます。
お母さんが丹精込めて作ったドレスを、奥様に届けたい。アイリーンの願いは叶うのでしょうか。
原題は"Brave Irene"、Braveは勇敢とも気高いとも訳されることがありますが、小さなアイリーンの献身的な行動には確かに、忠実な騎士のような気高さがあります。道のりの途中では、ある決定的な出来事が起こるのですが、それでも進み、説明をしなければならないと決意したアイリーン。その姿には、大人でも、いえ、大人だからこそ深く頭が下がるのではないでしょうか。勇気とは、逃げずに向き合うことと、考えさせられます。
小さな子供の振り絞った勇気に最大限に応え、素敵な贈り物をするお屋敷の人々、帰りを待つお母さん。大人たちの優しい姿もまた、今作の魅力ではないかと思います。柔かい絵柄で描かれた奥様のドレス、舞踏会の風景も、小さな頃は憧れでした。
2020年現在は残念ながら絶版になっているのですが、図書館などでお見かけの場合は、ぜひお手に取ってみてください。再販を密かに願っている一冊です。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
明日からまた、よろしくお願い致します。